トータルパワーの減衰に関する実験【イナズマイレブンGOギャラクシー】
はじめに
ロングシュートのトータルパワーが時間経過または距離によって小さくなっていくことが知られている。これがどのように減衰しているのかを調べた。また、スキル「ロングシューター」と化身スキル「悪魔の狙撃手」を付けた場合も扱う。
以下の6つの順で記述する。
1.今回の実験が占める位置
2.予想、指数関数
3.実験方法
4.実験結果、解析、考察
5.スキルの価値
6.今後の課題
1.今回の実験が占める位置
ギャラクシーでは、ロングシュートをシュートチェインする得点方法が非常に強力である。減衰の振る舞いを知ることで、GKを破るために必要なパワーを計算できるようになる。スキルの効果を知ることで、最適なスキル構成を考えることが出来るようになる。
2.予想、指数関数
横軸に時間または距離、縦軸にトータルパワーを取ってグラフにしたとき、関数がどのような形になるだろうか。経験から軽く否定できる形がある。
最初のパワーによらず一定の傾きの直線で減っていく形ではないと思う。1万越えの化身シュートが1000くらい減っているのを見たことがある。この場合、1000以下のシュートがGKに届くころにはパワーが0になることになる。そうはならない。これを直線説Aとする。
直線がありえないというわけではない。最初のパワーに比例する傾きの直線で減っていく形は否定できない。この直線なら、どのパワーであってもパワーが0になる位置で交わるわけだが、その距離に到達する前にGKに届いてしまっている可能性がある。これを直線説Bとする。
実のところ、同じ検証を数年前に行っていた。そのときは、指数関数になると思って計算し、結果として指数関数であると結論付けた。今回は、そのときよりも慎重に検証する。
指数関数を知らない人に簡単に説明すると、(これは等比数列であるが、)「2,4,8,16,32,…」という増え方をすることである。掛けていく数が1よりも小さい場合は減っていき、「100,90,81,72.9…」のようになる。
3.実験方法
図1のように、x,x',x''を置いて、その位置でのトータルパワーを測定した。xとx''は正確な値が出るが、x'は正確な値が表示されない。下画面に出るトータルパワー表示を録画して、後から録画を見て測定した。
実験を短時間で行うために、ロングシューターの数が0,1,2のキャラを用意した。スキル無しのキャラは2人いる。シュート時のトータルパワーから、同じキャラであることを確認してほしい。
後述するが、xで打ったシュートをx'でチェインする場合と、x'からロングシュートを打つ場合も行った。
4.実験結果、解析、考察
はじめに、今回行った実験すべての測定結果を表1に載せる。
表1
データ番号 | ロングシューター | 悪魔の狙撃手 | x | x' | x'' | 備考 |
1 | 0 | 0 | 325 | 232 | 133 | |
2 | 1 | 0 | 594 | 507 | 417 | |
3 | 2 | 0 | 954 | 883 | 811 | クリティカル |
4 | 0 | 1 | 325 | 275 | 226 | |
5 | 1 | 1 | 594 | 548 | 503 | |
6 | 2 | 1 | 477 | 460 | 442 | |
7 | 0 | 2 | 325 | 301 | 276 | |
8 | 1 | 2 | 594 | 573 | 551 | |
9 | 2 | 2 | 477 | 468 | 459 | |
10 | 0 | 3 | 651 | 627 | 603 | クリティカル |
11 | 1 | 3 | 594 | 583 | 572 | |
12 | 2 | 3 | 477 | 473 | 470 | |
13 | 0 | 0 | 325 | 232 | ||
0 | 0 | 1650 | 1134 | |||
14 | 0 | 0 | 325 | 226 | 125 | |
15 | 0 | 0 | 325 | 233 | ||
0 | 0 | 1651 | 1139 | |||
16 | 0 | 0 | 1552 | 1060 | 588 | |
17 | 0 | 0 | 1552 | 1075 | 597 | |
18 | 0 | 0 | 真ん中から | 776 | 528 | 失敗 |
19 | 0 | 0 | 真ん中から | 1552 | 1087 |
仮に指数関数であれば、(x'でのパワー)÷(xでのパワー)と(x''でのパワー)÷(x'でのパワー)が近い値になるはずである。それを表2に載せる。
表2
データ番号 | x'÷x | x''÷x |
1 | 0.713846 | 0.573276 |
2 | 0.853535 | 0.822485 |
3 | 0.925577 | 0.91846 |
4 | 0.846154 | 0.821818 |
5 | 0.922559 | 0.917883 |
6 | 0.964361 | 0.96087 |
7 | 0.926154 | 0.916944 |
8 | 0.964646 | 0.961606 |
9 | 0.981132 | 0.980769 |
10 | 0.963134 | 0.961722 |
11 | 0.981481 | 0.981132 |
12 | 0.991614 | 0.993658 |
13 | 0.713846 | |
0.687273 | ||
14 | 0.695385 | 0.553097 |
15 | 0.716923 | |
0.689885 | ||
16 | 0.68299 | 0.554717 |
17 | 0.692655 | 0.555349 |
18 | 0.680412 | |
19 | 0.700387 |
ロングシューターと悪魔の狙撃手をどちらも持たない場合を除けば、近い値を取っている。これで、指数関数であると結論付けるつもりであったが、一次関数(直線)になるかどうかも確認することにした。
x-x'とx'-x''の値を取ったときに、直線説Aが成り立つならばすべてのデータでのx-x'とx'-x''の38個の値がすべて同じ値になるはずである。直線説Bが成り立つならばすべてのデータにおいて、各データ内でx-x'とx'-x''の値が同じ値になるはずである。表3に載せる。
表3
データ番号 | x-x' | x'-x'' |
1 | 93 | 99 |
2 | 87 | 90 |
3 | 71 | 72 |
4 | 50 | 49 |
5 | 46 | 45 |
6 | 17 | 18 |
7 | 24 | 25 |
8 | 21 | 22 |
9 | 9 | 9 |
10 | 24 | 24 |
11 | 11 | 11 |
12 | 4 | 3 |
13 | 93 | |
516 | ||
14 | 99 | 101 |
15 | 92 | |
512 | ||
16 | 492 | 472 |
17 | 477 | 478 |
18 | 248 | |
19 | 465 |
これを見て、直線説Bの方が指数関数よりも適していると感じる。
他にも、この測定結果から推測できることがいくつかある。
・チェイン後は、チェインで増やした後のトータルパワーに比例して減る。弱いロングシュートの分だけ減らされるわけではない。
・ロングシューターと悪魔の狙撃手は同一効果であり、いくつでも併用した分だけ効果が発揮される。
・ロングシューター1つにつき、半分の距離に相当する減り方をする(これは指数関数として見ても同じ)。
・一次関数だと分かった上でロングシューターの効果を言い換えると、減衰値が半分になる。これは減数値が距離と比例するため言える。
5.スキルの価値
シュート地点から距離L移動した場所でのトータルパワーAαを、シュート時のトータルパワーA、該当スキル数n、定数cを用いて、
Aα=A-ALc(1/2)^n
と表せる。
表せるが、αの値を何となく分かっていればよい。
Lがコートの縦半分、nが0のとき、αは約0.7である。
これのnを1にすると、(1-0.3÷2)÷(1-0.3)≒1.2 より、αが約1.2倍になる。x'から打つシュートに付ける1つ目のロングシューターの効果はトータルパワー1.2倍と換算できる。
ここから、ロングシュートを担当するキャラクターに付けるスキルの優先度を考えることが出来る。やはり、1つ目は破格の強さである。
2つ目は0.925÷0.85≒1.09 となり、即採用とはいかない効果になる。シュート位置やチェイン位置が相手ゴール寄りになるほどこの効果は弱まる。逆に、遠ざかるほど効果が大きくなる。
6.今後の課題
まだまだロングチェイン研究は完成していない。さらに進む余地があるところをいくつか書く。
・ボールが斜めに飛んだ時の減り方が分かっていない。
・チェインしたことで減衰速度と比例するパワーが変更されるが、パワーが0になる場所がズレるのかどうか。つまり、シュート地点から一定距離で0になるような速度に設定されているのか、ゴール後方の特定の位置というのが決まっているのか、のどちらか。
・シュートブロック(パワーダウン)された際にどうなるか。
・今回の結果を、ロングシュートではない、ゴール前でのシュートに応用できるかもしれない。
終わりに
科学のように書きましたので、実験を再現していただけるはずです。